あなたにとって「階段」はいったいどんな存在だろうか?昇り降りをする道具か?効率よく体を動かすための場所?それとも、わずらわしい段差だろうか。今回ご紹介するお住まいは、その「階段」を魅力的に住まいに取り込み、家の核として存在させている。

閑静な住宅街の中で、ダークブラウンの斜め壁がひと際目立つキュービックで個性的な外観。4人家族が暮らす。(設計・施工/平成建設)

階段なしでは語れない、この家のスタイル。

リビングから、2階までまっすぐに伸びる「稲妻階段」。鉄骨が稲妻のようにジグザグとしていることから「稲妻階段」と呼ばれるそう。玄関から入ってすぐ、リビングのすぐ脇にあっても、まったく圧迫感を感じない、シームレスなデザインと、高い吹き抜けは、奥にあるステンレス天板のキッチンや、レンジフードの存在を自然と調和させてしまう。そしてそこから生まれる開放感は絶大。「物は極力少なく、シンプルに、すっきり暮らしたい」そんなライフスタイルを望んでいる4人家族にぴったりのデザインだと言える。

開放感を生み出す、稲妻階段。手すりの効果

ただ稲妻階段だから開放感があるわけではなく、例えば、手すりや、素材感がそうさせているように思う。通常壁に取り付ける手すりは、稲妻部分と同素材である鉄製のパイプで「レ」の形にデザイン。階段の浮遊感と、手すりの浮遊感が絶妙。フローリング材と踏み板を同色で塗装し、蹴上部分をスケルトンにしたことでさらに開放感が増している。

耐力壁をなくし、その代わりにステンレスのワイヤーで補強

25帖あるリビング。実はこれは木造ではかなり広い。本来なら、階段下の柱と柱の間には体力壁と呼ばれる支えになる壁が必要だが、開放感を損なわないよう「ステンレスブレース」で補強している。このクロスしたステンレスの棒だけで補強できることは驚きだが、これにより確実に開放感が増した。

子供部屋にも、ロフトに上がるための小さな階段が。鉄パイプを壁に取り付けることで昇り降りが楽しい階段に。子供たちも楽しそうに上る。