静岡県三島市にある器屋「chigiri」。
器の魅力を教えていただいた前回(【前編】食事を彩るうつわの魅力 器屋chigiri)。
今回はオーナーの西島千恵子さんの手料理と共に素敵な器をご紹介します。

慌ただしい水曜日の夕食に
~叶谷 真一郎の器~

料理は余白を大きく取らずに盛るのがポイント。器が持つ灰粉引の焼き色が魚の焼き色と相まって、メイン料理として確かな存在感を持たせます。家事に仕事にと落ち着けない平日の真ん中で、ホッと一息つける優しい食卓を演出してくれます。

6.5寸 灰粉引細リム皿(\3,520) 作家:叶谷 真一郎
この器におススメな料理:ハンバーグ・生姜焼き・コロッケなど

神戸に工房を構える叶谷さんの作品は、普段のごはんと共にある優しい器です。奥様の尚子さんが運営するInstagramのアカウントでは、奥様お手製の料理を盛り付けた写真が投稿されていて、とても魅力的。実際にお会いした時にご夫婦で交わされる関西弁のやりとりからも、お二人の人柄がにじみ出ていて微笑ましい気持ちになるのだとか。

たまに訪れる少し特別な時間に
~亀田 大介・亀田 文の器~

子どもが寝付いたあと、こっそり隠していた大人のデザートを。ゆったりと余白をとった盛り付けに、生クリームを添えれば少しリッチなデザートに早変わり。繊細な銀の趣きに置くだけでテーブルが一層華やかになります。

7.5寸 銀磁皿(\9,900)作家:亀田 大介
この器におススメな料理:チーズ・生ハム・カルパッチョなど

たっぷりのカスタードクリームにブルーベリーを添えて、後はオーブンレンジに放り込むだけで熱々のフルーツグラタンの完成。簡単だけど見た目も華やかに、おもてなしデザートとして活躍すること間違いなし。

7寸 耳付き耐熱リムボウル(\6,050) 作家:亀田 文
この器におススメな料理:アヒージョ・アップルクランブル・フラン

ご夫婦揃って陶芸家の亀田さん。大分県別府に工房を構えており、訪ねたことのある西島さん曰く、工房はお二人の美意識をしっかり感じる整った空間なんだそうです。器の作風も凛とした空気を感じさせますね。

芯から冷える冬の食卓に
~戸塚 佳奈の器~

白いクラムチャウダーが映えるように、色の対比が美しい深いこげ茶色の器に決定。しっとりとした質感が肌寒い季節を少し温めてくれるよう。立体感ある立ち上がりの器は、料理をわずかに盛り付けることで器のデザインを引き立てます。

リムボウル黒(\5,720) 作家:戸塚 佳奈
この器におススメな料理:カボチャのポタージュ・サーモンの洋風ちらし寿司

沖縄で陶芸の修行を行い、現在は北海道小樽市に工房を構える戸塚さん。沖縄時代と現在では作風がかなり変わったそうです。現在の戸塚さんの作品は、古びた金属光沢を帯びた色味が美しい釉薬を使用し、轆轤(ろくろ)の造形もシャープな印象なのだとか。小樽の地の寒さとその余韻、刹那の夏を表しているようだと教えてくださりました。

旬を感じさせる一品には
~川口 武亮の器~

佐賀県の有田町に工房を構える川口さん。以前は家庭の食卓で普段使いできる器をメインに製作されていたのだとか。その後プロの料理人への器を作る機会が増えたことをきっかけに、1品1品の料理を引き立てる器を多く手掛けるようになったそうです。懐石料理の器としても用いられる程に、料理に品をもたらします。

黄釉稜花向付碗 (\4,950) 作家:川口 武亮
この器におススメな料理:春菊の白和え、おひたし、茄子の揚げ出し

乙女心くすぐるときめくデザイン
~坂上 のり子の器~

マット感のなかにほんのり光沢がある白が魅力の坂上さんの器は、轆轤(ろくろ)で成型をせずに型作りという技法で作っているそう。轆轤の線とは異なる揺らぎが器に緩やかな表情をもたらし、愛らしい印象を与えてくれますね。

オーバルレリーフ皿 (\7,920) 作家:坂上のり子
この器におススメな料理:桃とモッツァレラのサラダ、ミートソースパスタ

いかがでしょうか。

叶谷さんの器で普段の食卓に彩りをもたらしたり、亀田さんの少し特別な器で普段はしない料理にチャレンジしてみたりと、器は食事を魅力的にしてくれる力を秘めているのかもしれません。お気に入りの器を見つけて、毎日の食卓を楽しい時間にしてくださいね。

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◇chigiri
静岡県三島市中央町2-37
TEL.055-941-9416
HP.http://utuwa-chigiri.com/
Instagram.@utsuwa_chigiri
器を使った料理の様子はこちらのアカウント @utsuwa_chigiri_home