広々としたキッチン空間に添えられるのは、奥様が集めてきたビンテージチェア。年代物が好きだと語る奥様は、今回のお住まいの担当設計士でもあります。集めてきたビンテージ家具が映えるこちらのお住まいは、ご自身やご家族のこれからのライフスタイルを考えた間取りになっています。
自然環境重視の物件探し
永住先に決めたのは築34年の分譲マンションの一室。南側隣地は公園になっているので、バルコニーからは自然を楽しむことができます。近い未来、巣立っていく可能性のある子ども達との住まいでもあり、必要最低限の広さがあり利便性も高い分譲マンションを購入されました。「決め手になったのは、部屋の向かいにある広々とした公園と周囲の山々を見渡せる環境ですね」と奥様。光を遮る建物もなく日当たりの良い空間になっています。
間取りを大きく変えて、希望の住空間に
駅近などの好立地な土地を購入しようとすると費用がグッとかかります。それに比べ中古の分譲マンションは、好立地な場所でも購入費用を抑えられるというメリットが。また鉄筋コンクリートラーメン構造のマンションは内部に柱がないため、壁をなくして間取りを大きく変更することができます。
こちらのお住まいも以前の間取りと姿を大きく変えて、これからのライフスタイルに合わせた空間デザインとなっています。
元々バルコニー側にあった和室と洋室、リビングを合わせ、1つの広々とした空間に。その空間をリビングと主寝室にしています。永住する中で年を重ね、身体が不自由になった時も不便なく暮らせるようにと、将来に配慮した間取りなんだそう。
ベッドにはバルコニーからの暖かい光が降り注ぎます。壁に飾られているのは奥様お手製のウィービングタペストリー。寝室空間にやわらかい印象を与えてくれます。
2人が並んでもゆったり使える洗面スペース
大人2人が洗面台の前に立てる程の広さがある洗面スペースは、以前はそれほど大きくありませんでした。隣り合っていた洋室の一部を取り入れて、洗面スペースを広げています。年頃の娘さんが化粧をしている間に、他の家族が支度できるようこの形にしたのだそう。
洗面化粧台の天板は、収納と近い印象のシナ共芯合板を使用しているので、空間に統一感をもたらします。
使いやすさを追求した、シンプルだけど個性あるキッチン
今までの暮らしの経験からシンプルに暮らすことを目標に、必要最低限の性能を求めたキッチンを製作。システムキッチンとは違い、引き出し収納をなくし、必要な料理道具を壁にかけて見せる収納としました。また、調味料はワゴンにいれて保管しています。持っている食器は食洗機不可が多いこともあり、食洗機も採用されなかったそう。
引き出し収納や食洗機がない分コンロの下にゴミ箱が配置でき、キッチン空間をすっきりとした印象に仕上げています。
背面収納は木製シェルフとラーチの吊戸棚のみ。食器類はキッチン近くに配置したアンティークの食器棚に収納されているので、こちらには家電や保存食品が並びます。最初は色を黒で統一しようと考えていたそうですが、黒のちょっとした色味やツヤの違いが気になったことと、空間が重くなってしまうおそれがあったため白で統一したのだとか。
お気に入りのビンテージ家具が馴染む空間づくり
味わいのあるビンテージ家具を新築同然のリフォーム空間に馴染ませるためにどんな工夫をされたのでしょうか。「空間に統一感を出す基本は、使用する色を3色に限定することです。ただ自分の家ではその基本を崩してみようと思い、様々な色味を採用しています」(奥様) 異種的な色を取り入れていくと乱雑な印象を与えかねないので、ビンテージ家具が浮かないように床材は慎重に検討したのだと教えてくださいました。また天井のコンクリートをそのまま見せているので、使用する色味を天井の色味に合わせグレーベースにしています。
床材は色味だけではなく幅の広さも検討し、採用されたのは朝日ウッドテックが販売している「デザインプレミアム ストリーム」のブラックチェリー。3種類の幅を組み合わせた特徴ある商品で、ビンテージ家具の個性とよくマッチしています。
限りある時間を楽しく過ごすために
テレビではなくプロジェクターを取り入れているので、コンクリート天井のおかげで音響がいいところが気に入っているのだとか。「ソファでくつろぎながら映画を見るのですが、飼っている猫が一緒に座るので息子がラグで見ることに。息子のために今は1人用のソファを狙っています。」(奥様) 近い未来巣立っていく子ども達とお家時間を楽しむことのできるお住まいになっています。
(設計・施工 (株)平成建設 フルリノベーション)