「土間」と聞くと、日本の伝統的な民家を思い浮かべる方も多いかもしれない。 現代でも水や汚れを気にせず使える土間は、収納や趣味部屋として、また気軽に来客を迎えられるスペースとして、ライフスタイルに合わせやすく、取り入れる方も多い。今回ご紹介する土間のあるお住まいも、土間ならではの「土足で歩ける室内空間」を生かし、人が集い楽しむ場所となっている。
都内の旗竿地に建つルーフバルコニー付きの3階建て。板張りが外観のアクセントとなっている。まだ幼い3人のお子様の楽しそうな笑い声が響く、5人家族のお住まい。(設計・施工/平成建設)
庭と土間が一体となった、プライベートな土間空間
旗竿地を生かして室内への入口を敷地奥にし、プライバシーに配慮。通りからの目を気にせず、大きな木製サッシの引き戸を開け放つことができ、庭からそのまま室内へとゆるやかに空間がつながる。
室内に入ると、自社の漆職人が手掛けた漆塗りの壁とソファが置かれたプライベートな土間空間が。ご親戚やご友人と、大人数で集まるホームパーティーはもちろんのこと、お子様の遊び場、天気の良い日はランチなど、家族の憩いの場としても活躍しているそう。深い軒のおかげで、雨の日でも戸を開けて過ごせるのが嬉しいポイント。
土間がもう一つのリビングに
ソファに腰かけ、漆塗りの壁をアート作品のように眺めるのが最近のお気に入りだというご主人。音楽を流しながら、夕涼みをするのも心地が良いのだとか。家族でも仲間とも楽しめる土間が、暮らしにゆとりと遊び心をもたらしてくれる。
ライフスタイルに合わせた、土間のある住まい ―施工事例―
● 廊下を土間に ― 開放感と利便性を考えた間取り
来客は土間から直接、家族は土間とまっすぐつながったキッチン裏のファミリークロークと洗面脱衣室を経てLDKへ。帰宅した家族とすぐに顔を合わせて「おかえり」が言える、家族の動線に配慮した住まい。
広々とした土間では来客とおしゃべりをしたり、自転車を置いたりと多目的に使えるのが魅力的だ。
●「365日ロードバイクを楽しみたい」趣味と暮らせる土間
窓際に並ぶ植物が生き生きと育つ風通しが良い土間には、磨き上げられたロードバイクが並ぶ。
雨の日はメンテナンスやローラー台でトレーニングを。天気の良い日には、外土間とつながる掃き出し窓を全開にして車体を丸洗いすることができる。自由気ままに趣味を楽しみたい、そんな願いを叶えてくれる土間空間に憧れる方も多いのでは。
過去記事: 不便を味方に。ロードバイクと遊ぶ土間のある家
● 通り土間でつなぐ明るく開放的な住まい
住まいの南北をつなぐ通り土間により、明るく開放感あふれる住まい。土間とLDKを遮る壁を取り除き、コンクリートブロックで空間を緩やかに区切ることで、オープンなリビングを実現。
部屋にも壁を設けず、柱と鋼鉄ブレースの構造材を採用することで視線が抜ける空間となっている。