大工の手仕事

大正元年築の旧宅を解体する際、古材を丁寧に取り外し、平屋に再生させたこのプロジェクト。太い梁や化粧柱を大工の手で調整したり、古い建具が収まるように間口を調整したりと、大工だからこそできる手仕事が満載です。

建築するにあたって、解体した旧宅の古材を一度加工場に持ち帰り、仮組をしました。仮組を丁寧に確認しながら担当の設計士・監督・大工と綿密に打ち合わせを行い、現地での建て方に挑んだのです。そうして出来上がったこちらのお住まいは、古き良き日本の趣が漂う、味わい深い空間が広がります。

様々な用途に活用できる玄関土間

訪問客の多いお施主様のご要望で、玄関と兼用の広い土間を設けました。その一角に家具を入れて応接スペースとして利用します。アプローチ脇の植栽を眺めながら、お客様との会話を楽しめます。

暗くなりがちな家の中心部にはトップライトを

平屋だと、どうしても暗くなりがちな住まいの中央部にトップライトを設けることで自然光を取り込み、室内の明るさを確保しています。


勾配天井に配置されたトップライト。杉の板張りの天井に古材の梁がよく映えます。

コンパクトにまとめた水廻り

浴室、脱衣室、洗面室、トイレが一箇所に連なり、コンパクトな水回りとしました。洗面室とキッチンが扉なしでつながっているので、動線が短くなり、家事が楽になるよう工夫しています。

土間からアクセスしやすいダイニングキッチン

土間からアクセスしやすいダイニングキッチンは、カウンターでお客様の対応をすることも可能です。
木質感溢れるカウンターはお店に来たような雰囲気で、料理も美味しく感じられること間違いなし。

間接光を楽しむ個室

寝室も兼ねている個室は、軒先を低く抑え、障子越しのやわらかい光で部屋の明るさを確保しています。個室入口の建具は、旧家で使用していたものを再活用しています。隣接した和室と隔てるための襖を開ければ、南北へ風が通り抜ける、気持ちの良い空間となっています。

旧家の大黒柱を挽き割り、テレビ台の天板として再活用。古材を多く使用したお住まいに合った家具を大工が製作しています。
長らく暮らした旧家を思い出す、新しくもどこか懐かしいお住まいとなりました。

(設計・施工 (株)平成建設 在来工法 平屋建)